ストーリー
1958年、ニューヨーク。裕福な毛皮商人の顧客たちが、“アーバス・ファミリー・写真スタジオ”に集まってくる。このスタジオで毎シーズン開催される5番街の高級毛皮店兼デパート、ラセックスの最新毛皮ショーを見るためだ。ダイアン・アーバス(ニコール・キッドマン)にとって憂鬱な一日の幕開けである。なぜなら、彼女は顧客たちに気を遣い、ファッション・フォトグラファーである夫のアラン・アーバス(タイ・バーレル)に助手として付き、尚かつ舞台裏ではモデルたちのスタイリストを務めなければならないからだ。おまけに、ラセックスの経営者である彼女の両親、デビッド・ネメロフ(ハリス・ユーリン)とガートルード(ジェーン・アレクサンダー)夫妻の、娘夫婦に仕事を与えてやっているという態度が気に喰わない。実は生まれたときから、ダイアンはブルジョワ一家の中で心の中には常に自分のいる世界に居心地の悪さと不安を感じていた。ショーの当日、写真スタジオが入る同じアパートの前に運送業者のトラックが止まり、引っ越しの荷下ろし作業が行われていた。家具がアパートの上階に運び込まれるのを窓から眺めていたダイアンの目がとらえたのは、奇妙なマスクで頭を覆った隣人、ライオネル(ロバート・ダウニーJr.)の姿だった。ライオネルはコートを羽織り、帽子を被り、顔はマフラーとマスクですっぽりと隠し、見えるのは目だけ。その目が、ダイアンの不思議そうな視線を見返していた。この男の異形に激しく心を奪われたダイアンは意を決し、カメラを手に彼の部屋のベルを鳴らす。扉を開いた“運命の男”に隠された秘密は、彼女の好奇心を欲望へと駆り立てていく―。