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| 告発のとき | |
300字レビュー |
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◆邦題も原題もそれぞれ違う意味でつかみどころのないタイトルを掲げている作品だが、物語は、観客の心臓をわしづかみするような、非常に胸の苦しくなる作品。 戦地から帰還した直後に軍から失踪し、後日焼死体で発見された息子。事件を調べる退役軍人の父親。真相に迫るにつれ、息子の「精神的暗部」に光が当てられていく。戦争という極限状態がもたらす狂気と、その後の精神的後遺症。盲目的で強すぎる愛国心が若者を戦場へと向かわせ、狂気に触れて帰ってくる。一度狂気の触れた人間が平穏な日常生活に戻ることはむずかしい。 そしてもう一つ。自身も軍人であり、軍を誇りを持っている父親は、息子の出したSOSを見逃してしまう。父親はそのことをずっと後になって気づくことになる。 設定や立場は違うが、コーエン兄弟の『ノーカントリー』でトミー・リー・ジョーンズが演じていた保安官を思い出す。ともに自身の強い正義感や信念を持って事件を追うが、世界はもっと大きな虚無を抱えており、彼らの価値観を足元から崩していく。この手の芝居をさせると、トミー・リー・ジョーンズの右に出る者はそうそういないだろう。そしてやはり両作にたずさわる撮影監督ロジャー・ディーキンス。彩度を落とし、乾いているけど、わずかに湿度を残すカメラは、ひとつひとつ丁寧に映像を重ねていく。 残念なのは、やはりタイトルである。意図はわかるが、キリスト教徒以外にはピンとこない原題。“告発”という言葉を使用した、今まで使われたことのないタイトルを探しましたという邦題。何か他になかったのだろうか。(栗栖) |